この記事でわかること
- ターミナルケア療養費の体系(2026年・医療保険)の要点と実務対応
- 算定要件の詳細の要点と実務対応
- 実務上の落とし穴と対策の要点と実務対応
- ターミナルケアの質を高める D to P with N の活用の要点と実務対応
- 算定チェックリストの要点と実務対応
はじめに:看取り対応は「加算を取る」ことではない。しかし取りこぼしてはならない
在宅看取りは訪問看護の最も重要な役割の一つです。利用者と家族に寄り添い、最期の時間を支える——その看護の価値は加算の金額では測れません。
しかし、適切なケアを提供したにもかかわらず算定要件の理解不足で加算を取りこぼすことは、ステーションの経営にとって大きな損失です。ターミナルケア療養費1は25,000円、2は10,000円。年間10名の看取りがあるステーションでは、取りこぼしゼロなら年間15〜25万円の差が生まれます。
ターミナルケア療養費の体系(2026年・医療保険)
ターミナルケア療養費の体系(2026年・医療保険)について、実務で押さえるべきポイントを解説します。
| 区分 | 金額 | 条件 |
|---|---|---|
| ターミナルケア療養費1 | 25,000円 | 在宅で死亡した利用者(又は在宅→入院24時間以内に死亡) |
| ターミナルケア療養費2 | 10,000円 | 特別養護老人ホーム等で死亡した利用者 |
算定要件の詳細
算定要件の詳細について、実務で押さえるべきポイントを解説します。
基本要件
- 死亡日及び死亡日前14日以内に、2回以上の訪問看護を実施していること
- ターミナルケアの実施について、利用者又は家族に説明し同意を得ていること
- 訪問看護ターミナルケア療養費に係るターミナルケアの実施を行っていること
- 主治医との十分な連携のもとにターミナルケアを行っていること
「死亡日前14日以内に2回以上」の具体的な数え方
| パターン | 算定可否 |
|---|---|
| 死亡日に1回+死亡日前3日に1回 | ○ |
| 死亡日前1日に1回+死亡日前10日に1回 | ○ |
| 死亡日前15日に1回+死亡日前3日に1回 | ×(15日前は14日以内に入らない) |
| 死亡日に2回(午前と午後) | ○(同日2回でも可) |
注意:「14日以内」は死亡日を含みます。死亡日の14日前の日が起算日。
死亡場所に関するルール
| 死亡場所 | 療養費区分 | 条件 |
|---|---|---|
| 自宅 | 療養費1(25,000円) | — |
| 自宅→病院(24時間以内に死亡) | 療養費1(25,000円) | 搬送後24時間以内の死亡 |
| 自宅→病院(24時間超で死亡) | 算定不可 | — |
| 特養等 | 療養費2(10,000円) | — |
実務上の落とし穴と対策
実務上の落とし穴と対策について、実務で押さえるべきポイントを解説します。
落とし穴1:同意書の取得漏れ
問題:ターミナルケアの同意を得ていない、または書面での記録がない。
対策:
- 看取り方針を決めた段階で、速やかに同意書を取得
- 重要事項説明書にターミナルケアの説明と同意欄を事前に組み込む
- 家族が複数いる場合はキーパーソンの同意を明確に記録
落とし穴2:14日以内の訪問回数不足
問題:状態が安定していたため訪問間隔が空き、死亡日前14日以内の訪問が1回しかなかった。
対策:
- 看取り期に入った利用者の訪問計画を週2回以上に見直す
- 「最後の訪問から7日以上空いていないか」を管理者が週次でチェック
- 急変の可能性を考慮し、計画的に訪問頻度を上げる
落とし穴3:搬送後24時間超での死亡
問題:家族が不安になり救急搬送→病院で24時間を超えて死亡→算定不可。
対策:
- 看取り方針の家族への十分な説明と心構えの共有
- 「急変時は電話してください」→D to P with Nで医師が状態を確認し、在宅継続の可否を判断
- 家族が搬送を希望した場合の対応方針を事前に取り決め
落とし穴4:主治医との連携記録の不備
問題:主治医との連携は行っていたが、記録に残っていない。
対策:
- 主治医への報告内容(日時、内容、指示)を訪問看護記録に必ず記載
- D to P with Nで医師と連携した場合は、その内容も記録
- 「連携の記録がない=連携していない」と判断されるリスクを認識
ターミナルケアの質を高める D to P with N の活用
看取り期は、D to P with Nが最も効果を発揮する場面の一つです。
活用シーン
| シーン | D to P with Nの役割 |
|---|---|
| 疼痛管理 | 医師がオンラインで痛みの評価→鎮痛薬の処方調整 |
| 家族への説明 | 「あとどのくらいか」「今の状態は自然な経過か」を医師が直接説明 |
| 急変時の判断 | 呼吸状態の変化→医師が映像で確認→搬送不要と判断→在宅看取り継続 |
| 死亡確認 | 医師がオンラインで状態を確認し、訪問診療の手配を指示 |
看取り期のD to P with Nが「不要な救急搬送」を防ぐ
家族が救急車を呼ぶ最大の理由は「不安」です。深夜に呼吸が変わった、反応がなくなった——こんなとき、「先生に見てもらえた」「先生が”大丈夫”と言ってくれた」というだけで、家族の不安は大きく和らぎます。
D to P with Nで医師が家族に直接説明することで、在宅看取りの完遂率が向上し、結果としてターミナルケア療養費1(25,000円)の確実な算定につながります。
算定チェックリスト
利用者が亡くなった際、以下を確認してください。
- 死亡日及び死亡日前14日以内に2回以上の訪問看護を実施したか
- ターミナルケアの同意書を取得しているか
- 訪問看護記録にターミナルケアの実施内容を記載しているか
- 主治医との連携記録が残っているか
- 死亡場所は自宅か特養か(病院の場合は搬送後24時間以内か)
- 死亡診断書の日時と訪問記録の整合性は取れているか
まとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 療養費1 | 25,000円(在宅死亡・搬送後24時間以内) |
| 療養費2 | 10,000円(特養等) |
| 最大の取りこぼし要因 | 14日以内の訪問回数不足、同意書未取得 |
| D to P with Nの役割 | 不要な搬送の回避→在宅看取りの完遂→療養費1の確実な算定 |
看取りケアの質を高めることは、利用者・家族にとっても、ステーション経営にとっても、正しい方向です。
