この記事でわかること

  • 変更点1:D to P with Nの制度化【最大の目玉】の要点と実務対応
  • 変更点2:包括型訪問看護療養費の新設の要点と実務対応
  • 変更点3:訪問看護管理療養費の見直しの要点と実務対応
  • 変更点4:訪問看護医療情報連携加算の新設の要点と実務対応
  • 変更点5:訪問看護基本療養費(II)の細分化の要点と実務対応

はじめに:2026年改定は訪問看護の転換点

令和8年(2026年)診療報酬改定は、訪問看護にとって過去10年で最大の変革と言える内容です。

特に注目すべきは以下の3点です。

  1. D to P with N(Doctor to Patient with Nurse)の本格評価:訪問看護師が利用者宅にいる状態で医師がオンライン診療を行う仕組みが、初めて本格的に診療報酬で評価されました
  2. 包括型訪問看護療養費の新設:重症患者への頻回訪問を1日当たり包括で評価する新しい報酬体系が登場
  3. 訪問看護の「適正化」と「質の評価」の両面強化:不適切な運営への規制強化と、質の高い訪問看護への報酬引き上げ

本記事では、2026年改定で訪問看護に影響する変更点を網羅的に整理し、ステーション管理者が今すぐ取るべきアクションをリスト化します。


変更点1:D to P with Nの制度化【最大の目玉】

変更点1:D to P with Nの制度化【最大の目玉】について、実務で押さえるべきポイントを解説します。

何が変わったのか

訪問看護師が利用者宅に同席した状態で、遠隔地の医師がオンライン診療を行う「D to P with N」が、診療報酬と訪問看護療養費の両面で初めて本格的に評価されました。

新設された報酬

報酬名金額算定者条件
訪問看護遠隔診療補助料(訪問看護ST)2,650円/日訪問看護ステーション指示書有効期間内、定期訪問以外で実施、月1回
訪問看護遠隔診療補助料(医療機関)265点/日医療機関医療機関の看護師が訪問して実施、月1回
看護師等遠隔診療検査実施料100〜150点医療機関1種類100点、2種類以上150点
看護師等遠隔診療注射実施料100点医療機関注射実施時
看護師等遠隔診療処置実施料100〜150点医療機関1種類100点、2種類以上150点
遠隔電子処方箋活用加算10点医療機関電子処方箋で重複投薬チェック後に処方

3つのパターン

パターン内容ST側の算定
定期訪問中にD to P with N実施通常の訪問看護中に医師がオンライン参加通常の訪問看護療養費(変更なし)
単独のD to P with N訪問(指示書あり)定期訪問とは別にD to P with N専用で訪問訪問看護遠隔診療補助料2,650円
指示書なしのD to P with N医療機関が看護師を派遣、またはSTと費用分配医療機関が算定→STと費用分配

管理者アクション

  • D to P with Nの仕組みを理解し、連携可能な医療機関をリストアップ
  • オンライン診療に必要なICT環境(タブレット、通信回線)を整備
  • 利用者への説明・同意取得の手順を策定
  • 特に精神科・皮膚科・緩和ケアでの活用シーンを検討

変更点2:包括型訪問看護療養費の新設

変更点2:包括型訪問看護療養費の新設について、実務で押さえるべきポイントを解説します。

何が変わったのか

高齢者住まいに併設・隣接する訪問看護STが、重症患者に対して24時間体制で頻回訪問する場合の1日当たり包括療養費が新設されました。

対象患者

末期がん、多発性硬化症、重症筋無力症、人工呼吸器使用者、在宅麻薬注射管理患者など特定の重症患者に限定。

点数(1日につき・訪問看護ステーション)

利用者数60〜90分90分以上90分以上(高水準体制)
20人未満11,000円14,000円15,500円
20〜50人未満9,900円13,720円15,190円
50人以上9,350円13,440円

管理者アクション

  • 自ステーションが高齢者住まい併設型に該当するか確認
  • 該当する場合、対象となる重症利用者をリストアップ
  • 算定要件(日中・夜間各1回以上の訪問等)を満たせるか体制を検討

変更点3:訪問看護管理療養費の見直し

変更点3:訪問看護管理療養費の見直しについて、実務で押さえるべきポイントを解説します。

機能強化型の変更

類型月初日変更
機能強化型113,730円+500円
機能強化型210,430円+400円
機能強化型39,000円+300円
機能強化型4(新設)9,000円精神科訪問看護で地域連携実績

月2日目以降の細分化

利用者数規模に応じて報酬が細分化されました。

利用者数月20日まで21日以降
20人未満3,000円3,000円
20〜49人2,500円2,200円
50人以上2,400円2,000円

管理者アクション

  • 自ステーションの機能強化型の類型を確認し、上位区分を目指す
  • 機能強化型4(精神科特化)の要件を確認し、精神科訪問看護の実績がある場合は届出を検討
  • 大規模ステーション(50人以上)は月21日以降の管理療養費低下を踏まえた訪問計画の見直し

変更点4:訪問看護医療情報連携加算の新設

変更点4:訪問看護医療情報連携加算の新設について、実務で押さえるべきポイントを解説します。

内容

項目詳細
金額1,000円/月1回
対象訪問看護管理療養費算定患者
要件ICTで記録された診療情報等を活用した計画的管理。電子情報処理組織で常時確認可能な体制整備

管理者アクション

  • 電子カルテや記録システムがICT連携に対応しているか確認
  • 主治医の医療機関との電子的情報共有体制の構築を検討
  • 1,000円×利用者数の収益インパクトを試算

変更点5:訪問看護基本療養費(II)の細分化

同一日の同一建物居住者への訪問について、利用者数に応じた細かい区分が設定されました。

利用者数看護師准看護師
2人5,550円5,050円
3〜9人2,780円2,530円
10〜19人(月20日まで)2,760円
10〜19人(21日以降)2,660円
20〜49人(月20日まで)2,710円
50人以上(月20日まで)2,610円

管理者アクション

  • 高齢者住宅等への集合的訪問を行っている場合、利用者数別の収益影響を試算
  • 月21日以降の報酬低下を踏まえた訪問日数の最適化

変更点6:適正な訪問看護の推進(規制強化)

変更点6:適正な訪問看護の推進(規制強化)について、実務で押さえるべきポイントを解説します。

主な規制内容

  1. 一律な訪問日数の禁止:利用者の心身の状況を踏まえず一律に訪問日数を定めることは認められないことが明示
  2. 実施時間の厳格化:標準時間を下回る訪問が頻繁な場合は「実施」と認められない。記録には開始・終了時刻の明記が必須
  3. 値引き誘引の禁止:利用者への値引きによる誘引を禁止
  4. 紹介対価の禁止:紹介料の授受を禁止
  5. 医師誘導の禁止:特定の医師への誘導を禁止

管理者アクション

  • 訪問看護記録書の開始・終了時刻の記載を徹底
  • 利用者ごとの訪問頻度が個別のアセスメントに基づいているか確認
  • 不適切な商慣行(紹介料等)がないか社内点検

変更点7:その他の注目変更

変更点7:その他の注目変更について、実務で押さえるべきポイントを解説します。

変更内容詳細
乳幼児加算の引き上げ1,300円→1,400円(超重症児以外)
難治性皮膚疾患の追加表皮水疱症等が別表8に追加、週4日以上の訪問可能に
特別地域加算の拡充「移動30分以上+移動・訪問合計2.5時間以上」でも算定可
複数名訪問加算の細分化建物内利用者数により1〜50人以上で報酬を区分化
遠隔連携診療料の拡充D to P with D(医師間連携)が900点に統一、対象疾患拡大

総合アクションリスト:管理者が今月中にやるべきこと

総合アクションリスト:管理者が今月中にやるべきことについて、実務で押さえるべきポイントを解説します。

最優先(4月中)

  1. 2026年改定の新点数で請求ソフトを更新
  2. 訪問看護記録の開始・終了時刻記載を全スタッフに徹底
  3. 機能強化型の変更・新設(型4)の届出要件を確認

高優先(4〜5月)

  1. D to P with Nの連携先医療機関を探索・交渉開始
  2. 訪問看護医療情報連携加算のICT環境整備を検討
  3. 包括型訪問看護療養費の対象利用者の有無を確認

中優先(6月まで)

  1. D to P with N用のタブレット・通信環境を整備
  2. 精神科D to P with Nの活用可能性を検討(精神科医との連携)
  3. 大規模ステーションは利用者数別の収益影響をシミュレーション

まとめ

2026年改定のキーメッセージは「訪問看護の質の評価と、テクノロジー活用の推進」です。

特にD to P with Nは、これまで制度的に難しかった「訪問看護師×医師のリアルタイム連携」を正面から評価する画期的な改定です。このチャンスを活かせるかどうかが、ステーションの競争力を大きく左右するでしょう。