この記事でわかること

  • 訪問看護の主要加算一覧(2026年・医療保険)の要点と実務対応
  • 取りこぼしが多い加算TOP5とその対策の要点と実務対応
  • 月次算定チェックリストの要点と実務対応
  • 加算算定による収益インパクト試算の要点と実務対応

はじめに:加算の「取りこぼし」は経営の大敵

訪問看護ステーションの収益は、基本療養費だけでは成り立ちません。加算をどれだけ確実に算定できるかが、黒字経営と赤字経営の分かれ目です。

しかし、多くのステーションで「算定できるのに算定していない加算」が存在します。特に2026年改定で新設された加算は、認知度が低い今こそ先行者利益を取るチャンスです。

本記事では、訪問看護で算定可能な加算を一覧で整理し、各加算の算定率と取りこぼしを防ぐチェックリストを提供します。


訪問看護の主要加算一覧(2026年・医療保険)

訪問看護の主要加算一覧(2026年・医療保険)について、実務で押さえるべきポイントを解説します。

体制系加算(届出に基づき算定)

加算名金額頻度算定率目安取りこぼしリスク
24時間対応体制加算 イ6,800円月1回80〜90%
24時間対応体制加算 ロ6,520円月1回
24時間連絡体制加算3,200円月1回10〜20%
訪問看護管理療養費(機能強化型1)13,730円月初日5〜10%
訪問看護管理療養費(機能強化型4・新設)9,000円月初日新設
訪問看護医療情報連携加算(新設)1,000円月1回高(認知低)

訪問実施系加算

加算名金額頻度算定率目安取りこぼしリスク
緊急訪問看護加算(月14日まで)2,650円日ごと20〜30%
長時間訪問看護加算5,200円週1回10〜20%
複数名訪問看護加算(看護師)4,500円日ごと10〜15%
夜間・早朝訪問看護加算2,100円日ごと5〜10%
深夜訪問看護加算4,200円日ごと5%以下
乳幼児加算1,400円日ごと

利用者属性系加算

加算名金額頻度算定率目安取りこぼしリスク
特別管理加算 I5,000円月1回15〜25%
特別管理加算 II2,500円月1回10〜15%
ターミナルケア療養費125,000円利用者死亡時
ターミナルケア療養費210,000円利用者死亡時

連携系加算

加算名金額頻度算定率目安取りこぼしリスク
退院時共同指導加算8,000円退院時20〜30%
退院支援指導加算6,000円退院日15〜25%
在宅患者緊急時等カンファレンス加算2,000円月2回5〜10%
訪問看護遠隔診療補助料(新設)2,650円月1回高(認知低)

精神科特有の加算

加算名金額頻度算定率目安取りこぼしリスク
精神科複数回訪問加算4,500円日ごと5〜10%
精神科重症患者支援管理連携加算8,400円月1回5%以下
長時間精神科訪問看護加算5,200円週1回5〜10%

取りこぼしが多い加算TOP5とその対策

取りこぼしが多い加算TOP5とその対策について、実務で押さえるべきポイントを解説します。

1位:特別管理加算(I・II)

なぜ取りこぼすか:対象者の「見落とし」。気管カニューレ、人工肛門、在宅酸素等の管理を行っている利用者が対象だが、スクリーニングが不十分。

対策:

  • 新規利用者受け入れ時のスクリーニングシートを導入
  • 既存利用者の再スクリーニング(年1回)
  • 対象となる医療機器・処置のリストを全スタッフに共有

2位:退院時共同指導加算・退院支援指導加算

なぜ取りこぼすか:退院前カンファレンスへの参加が間に合わない、または参加しても算定の手続きを忘れる。

対策:

  • 入院情報のキャッチを早める(ケアマネ・病院連携室との日常的な情報交換)
  • カンファレンス参加→算定手続きのチェックリストを整備
  • 「カンファレンス参加=算定」の意識をスタッフに徹底

3位:長時間訪問看護加算

なぜ取りこぼすか:90分以上の訪問を行っていても、時間記録が曖昧で算定根拠を示せない。

対策:

  • 訪問看護記録書の開始・終了時刻の正確な記載を徹底(2026年改定で義務化)
  • 長時間訪問が必要な利用者のリストを管理
  • 週1回の算定上限を意識したスケジュール管理

4位:訪問看護医療情報連携加算(2026年新設)

なぜ取りこぼすか:新設加算のため認知度が低い。ICT環境の整備が必要。

対策:

  • 電子カルテ・記録システムのICT連携機能を確認
  • 主治医の医療機関との電子的情報共有体制を構築
  • 月1回の算定で利用者1名あたり年間12,000円の収益

5位:訪問看護遠隔診療補助料(2026年新設)

なぜ取りこぼすか:D to P with Nの仕組みを理解していない。連携医療機関がない。

対策:

  • D to P with Nの制度理解を深める(本メディアの関連記事を参照)
  • オンライン診療に対応する医療機関を探索・連携
  • まず1名の利用者から試行開始

月次算定チェックリスト

毎月のレセプト提出前に確認すべき項目です。

体制系(全利用者共通)

  • 24時間対応体制加算:全同意利用者分を算定しているか
  • 訪問看護管理療養費:月初日と2日目以降の区分は正しいか
  • 訪問看護医療情報連携加算(新設):ICT連携の要件を満たしているか

利用者ごと

  • 特別管理加算:対象者を漏れなく算定しているか
  • 複数名訪問加算:2名体制で訪問した場合に算定しているか
  • 長時間訪問加算:90分超の訪問を記録・算定しているか
  • 緊急訪問看護加算:計画外の訪問を行った場合に算定しているか
  • ターミナルケア療養費:看取りを行った場合の算定漏れはないか
  • 訪問看護遠隔診療補助料(新設):D to P with Nを実施した場合に算定しているか

連携系

  • 退院時共同指導加算:カンファレンスに参加した分を算定しているか
  • 在宅患者緊急時等カンファレンス加算:多職種カンファに参加した分を算定しているか

加算算定による収益インパクト試算

加算算定による収益インパクト試算について、実務で押さえるべきポイントを解説します。

モデルケース:看護師5名・利用者40名のステーション

加算対象者数単価月額年額
24時間対応体制加算35名6,800円238,000円2,856,000円
特別管理加算I/II8名3,750円(平均)30,000円360,000円
訪問看護医療情報連携加算30名1,000円30,000円360,000円
退院時共同指導加算2名/月8,000円16,000円192,000円
訪問看護遠隔診療補助料5名2,650円13,250円159,000円
緊急訪問看護加算3件/月2,650円7,950円95,400円
加算合計335,200円4,022,400円

加算だけで年間約400万円。これは看護師1名分の人件費に相当します。加算の取りこぼしは、人を1名雇わないのと同じインパクトです。


まとめ

  • 2026年改定で訪問看護遠隔診療補助料と訪問看護医療情報連携加算が新設
  • 取りこぼしが多い加算は特別管理加算、退院時共同指導加算、長時間訪問看護加算
  • 月次チェックリストの運用で算定漏れを防止
  • 加算の取りこぼしゼロを目指せば、年間数百万円の収益改善が見込める