この記事でわかること

  • 訪問看護師の採用が難しい5つの構造的理由の要点と実務対応
  • 応募が来る求人票の5つのポイントの要点と実務対応
  • 「医師にすぐ相談できる」は最強の採用訴求の要点と実務対応
  • 紹介会社依存から脱却する方法の要点と実務対応

はじめに:なぜ訪問看護師だけが採れないのか

看護師全体の有効求人倍率は約2倍。しかし訪問看護に限ると、体感ではその数倍の採用難度です。

求人を出しても応募がゼロ。紹介会社に頼れば紹介手数料80〜100万円。やっと採用してもオンコール負担で1年以内に退職——。

この「採用の負のスパイラル」を断ち切るには、なぜ応募が来ないのかの構造を理解し、求職者の不安を先回りで解消する求人設計が必要です。


訪問看護師の採用が難しい5つの構造的理由

訪問看護師の採用が難しい5つの構造的理由について、実務で押さえるべきポイントを解説します。

理由1:オンコール待機への忌避感

データ:訪問看護に興味がある看護師の約60%が「オンコールがあるなら応募しない」と回答(各種調査より)

病院看護師にとって、オンコール待機は「訪問看護の最大のデメリット」として認識されています。特に子育て中の看護師やワークライフバランスを重視する層にとっては、完全な応募ブロッカーです。

理由2:一人訪問への不安

病棟では同僚や医師がすぐ近くにいます。しかし訪問看護は利用者宅で一人。急変時に相談できる人がいない不安は、特に病棟経験のみの看護師にとって大きな壁です。

理由3:訪問看護の仕事イメージの欠如

病棟看護師の多くは、訪問看護の実際の業務をほとんど知りません。「暗い」「大変そう」「スキルが高くないとできない」といった漠然としたネガティブイメージが応募を妨げています。

理由4:紹介会社依存の悪循環

紹介手数料は年収の25〜35%(80〜120万円)。採用→早期退職→再度紹介依頼というサイクルに陥ると、年間数百万円の採用コストが経営を圧迫します。

理由5:給与・待遇の不透明さ

訪問看護の給与体系は複雑(基本給+オンコール手当+訪問件数手当+その他)で、求人票から実際の年収がイメージしにくい。「結局いくらもらえるの?」が不明確。


応募が来る求人票の5つのポイント

応募が来る求人票の5つのポイントについて、実務で押さえるべきポイントを解説します。

ポイント1:オンコール負担を「見える化」する

NG例:「オンコールあり(当番制)」

OK例:

  • オンコール当番は月4〜5回(看護師7名で分担)
  • 月間の平均コール回数:3〜4件(うち出動は月1〜2件)
  • 連続当番は最大2回まで
  • D to P with Nにより、夜間の判断は医師にオンライン相談可能

求職者が知りたいのは「オンコールがあるかどうか」ではなく、「どの程度の負担か」です。

ポイント2:「一人じゃない」体制を示す

NG例:「充実のサポート体制」(抽象的すぎる)

OK例:

  • 新人は3ヶ月間の同行訪問からスタート。いきなり一人にしません
  • 訪問中に判断に迷ったら、タブレットで医師にオンライン相談可能(D to P with N導入済み)
  • セカンドコール体制あり。一人で全てを判断する必要はありません
  • 週1回のケースカンファレンスで、チームで利用者を支えます

ポイント3:年収を具体的に示す

NG例:「月給28万円〜(経験考慮)」

OK例:

モデル年収(経験5年・常勤の場合)

  • 基本給:28万円
  • オンコール手当:月2.5万円(月5回×5,000円)
  • 訪問件数手当:月1.5万円(月80件×200円の加算分)
  • 賞与:年2回(計3ヶ月分)
  • 年収見込み:約468万円

ポイント4:1日のスケジュールを具体的に示す

9:00  出勤・朝ミーティング(申し送り10分)
9:30  1件目の訪問(30分)
10:30 2件目の訪問(60分)
12:00 昼休憩(事務所 or 外出先)
13:00 3件目の訪問(30分)
14:00 4件目の訪問(60分)
15:30 5件目の訪問(30分)
16:30 記録・報告
17:30 退勤

1日の訪問件数は4〜6件。移動時間を考慮したスケジューリングで残業を最小限に。

ポイント5:キャリアパスを示す

入職〜6ヶ月同行訪問→段階的に独り立ち。教育プログラムに沿った研修
6ヶ月〜1年担当利用者を持ち、自律的に訪問。精神科等の専門研修も
1〜3年主任看護師。新人教育やケースマネジメントのリーダー
3年〜副管理者。経営参画の機会。将来の管理者候補

「医師にすぐ相談できる」は最強の採用訴求

2026年改定でD to P with Nが制度化されたことにより、「医師にいつでもオンライン相談できる体制」を構築したステーションは、採用市場で圧倒的な差別化が可能です。

なぜこれが刺さるのか

看護師が訪問看護への転職をためらう理由の上位2つは:

  1. オンコールの負担
  2. 一人で判断する不安

D to P with Nはこの両方を同時に解消します。

求人への記載例

当ステーションの特徴:D to P with N導入済み

訪問中や夜間のオンコール時、判断に迷ったらタブレットで医師にすぐ相談できます。 「出動すべきか」「救急搬送すべきか」の判断を一人で抱える必要はありません。

◆ 連携医師がオンラインで24時間対応 ◆ 精神科・皮膚科等の専門医にもアクセス可能 ◆ 看護師のスキルアップにもつながる(医師の臨床推論を学べる)


紹介会社依存から脱却する方法

紹介会社依存から脱却する方法について、実務で押さえるべきポイントを解説します。

自社採用チャネルの構築

チャネルコスト効果が出るまでの期間
自社ホームページの採用ページ低(制作費のみ)3〜6ヶ月
Indeed等の求人検索エンジン低〜中(無料枠あり)1〜3ヶ月
SNS(Instagram、X)低(運用工数のみ)3〜12ヶ月
スタッフからの紹介(リファラル)中(紹介報奨金)随時
看護学校・大学への訪問1〜2年
紹介会社高(80〜120万円/人)即時

リファラル採用のコツ

  • 紹介報奨金を設定(10〜30万円が相場。紹介会社より圧倒的に安い)
  • 「友達に勧められるか」がスタッフ満足度のバロメーター
  • スタッフが紹介しやすい資料(1枚のチラシ等)を用意

まとめ

ポイント内容
採用難の最大要因オンコール負担と一人訪問の不安
最強の対策D to P with N導入(医師にいつでも相談できる体制)
求人票の鉄則オンコール負担の「見える化」、年収の具体提示
採用コスト削減紹介会社依存→自社チャネル+リファラル

採用は「求人を出す」ことではなく、「働きたいと思えるステーションを作る」ことから始まります。D to P with Nの導入は、看護師にとっての「このステーションで働きたい」を作る最も効果的な投資です。