この記事でわかること

  • オンコール体制の実施状況の要点と実務対応
  • コール件数の実態の要点と実務対応
  • 出動(緊急訪問)の実態の要点と実務対応
  • 看護師一人あたりの負担の要点と実務対応
  • オンコール負担と離職の相関の要点と実務対応

はじめに:「うちのオンコール、多いの?少ないの?」

オンコール体制を運営するステーション管理者の多くが抱える疑問。それは「うちの負担は業界水準と比べてどうなのか」です。

月のコール件数が30件なのは多い?少ない?出動率50%は普通?スタッフが「辛い」と言っているのは個人の問題?構造の問題?

本記事では、各種調査データをもとにオンコールの実態を数値で可視化し、自ステーションの状況を客観的に評価するための指標を提供します。


オンコール体制の実施状況

オンコール体制の実施状況について、実務で押さえるべきポイントを解説します。

24時間対応体制の届出率

項目数値
24時間対応体制加算の届出率約85〜90%
実際に24時間体制を運営しているST約80%
24時間対応していないST約15〜20%(小規模ST中心)

大半のステーションが24時間対応体制を取っていますが、約15〜20%は体制を組めていません。主な理由は「看護師数の不足」です。


コール件数の実態

コール件数の実態について、実務で押さえるべきポイントを解説します。

ステーション規模別の月間コール件数(目安)

利用者数月間コール件数(中央値)1日あたり
20名以下5〜10件0.2〜0.3件
21〜50名10〜25件0.3〜0.8件
51〜80名20〜40件0.7〜1.3件
81名以上30〜60件1.0〜2.0件

コール内容の内訳

コール内容割合
電話相談のみで完結(白〜緑)50〜60%
翌朝の訪問で対応(緑)15〜20%
緊急訪問(出動)が必要(黄)20〜30%
救急搬送の判断(赤)5%以下

注目:コール全体の半分以上は「電話で完結する相談」です。トリアージマニュアルの整備と利用者教育により、この層のコールを減らすことが負担軽減の第一歩。


出動(緊急訪問)の実態

出動(緊急訪問)の実態について、実務で押さえるべきポイントを解説します。

出動率と出動回数

指標数値
コールに対する出動率20〜30%
月間の出動回数(利用者50名規模)4〜8回
1回の出動にかかる時間1〜2.5時間(移動含む)
出動の時間帯分布夜間(22時〜6時)が約40%

出動率が高くなる要因

要因影響
看取り期の利用者が多い出動率が1.5〜2倍に
小児(医療的ケア児)がいる出動率が高い
利用者教育が不十分不安コール→念のため出動のパターン
トリアージマニュアルが未整備判断に迷い安全側に振る→出動

看護師一人あたりの負担

看護師一人あたりの負担について、実務で押さえるべきポイントを解説します。

月間当番回数の分布

看護師数一人あたり月間当番回数評価
3名10回危険。離職リスク極めて高い
4名7.5回黄信号。持続困難な水準
5名6回ぎりぎり。バッファが不足
6名5回許容範囲。ただし有給・病欠で悪化
7名4.3回適正水準
8名以上3.75回以下理想的

持続可能性の目安

月間当番回数持続可能性離職リスク
4回以下◎ 持続可能
5〜6回○ 許容範囲
7〜8回△ 注意が必要
9回以上× 持続困難極めて高い

オンコール負担と離職の相関

オンコール負担と離職の相関について、実務で押さえるべきポイントを解説します。

データが示す事実

  • オンコール月8回以上のステーションの離職率は、6回以下のステーションの約1.5倍
  • 「オンコールが辛い」を離職理由に挙げた看護師の約70%が入職後2年以内に退職
  • オンコール負担を軽減したステーションでは、離職率が平均5ポイント低下

看護師の声(定性データ)

「寝ているときに電話が鳴るかもと思うと、結局ほとんど眠れない」

「出動は月に1〜2回。でも待機しているだけでストレスを感じる」

「判断を間違えたらどうしようというプレッシャーが一番辛い。手当の問題じゃない」

「D to P with Nで医師に相談できるようになってから、オンコールの日も眠れるようになった」


自ステーションの評価:3つの数字を確認してください

自ステーションの評価:3つの数字を確認してくださいについて、実務で押さえるべきポイントを解説します。

数字1:月間コール件数と出動率

指標要注意ライン
月間コール件数利用者数の50%を超えたら多い
出動率30%を超えたらトリアージの見直しが必要

数字2:看護師一人あたりの月間当番回数

指標要注意ライン
月間当番回数8回を超えたら危険信号

数字3:過去1年のオンコール関連離職

指標要注意ライン
オンコールを理由とする離職1名でもいたら構造的な問題

負担軽減の施策と期待効果

負担軽減の施策と期待効果について、実務で押さえるべきポイントを解説します。

施策期待できるコール削減率期待できる出動削減率
トリアージマニュアル整備10〜20%20〜30%
利用者・家族教育15〜25%10〜15%
ICTツール(見守りセンサー等)5〜15%10〜20%
D to P with N導入出動後の不要な救急搬送を30〜50%削減
複数ステーション連携—(当番回数自体が半減)

D to P with Nの効果はコール件数や出動率の削減ではなく、出動後の判断の質向上と看護師の心理的負担軽減に最大の効果を発揮します。


まとめ

指標全国目安自ステーションの値を記入
月間コール件数利用者数の30〜50%___件
出動率20〜30%___%
一人あたり月間当番回数4〜6回___回
過去1年の離職者数(オンコール理由)0名が理想___名

数字を可視化することが、対策の第一歩です。「なんとなく辛い」を「具体的にどの数字が問題か」に変換し、優先度の高い施策から着手してください。