24時間対応体制加算の収支は本当に合っているか

訪問看護ステーションの多くが算定している24時間対応体制加算ですが、実際にこの加算収入が夜間対応にかかるコストを上回っているかどうかを、数字で確認している事業所は多くありません。加算は月単位で固定的に入る収入である一方、夜間対応のコストはオンコール対応件数や深夜訪問の発生頻度によって変動します。本記事では収入側と支出側を分けて整理し、採算ラインの考え方を確認します。

24時間対応体制加算の点数区分はどうなっているか

診療報酬上の24時間対応体制加算は、令和6年度改定により体制の内容に応じて複数の区分に再編されています。厚生労働省の告示に基づく点数区分は次のとおりです。

区分点数
24時間対応体制加算(一)600点
24時間対応体制加算(二)574点
24時間対応体制加算(三)520点

区分は、自事業所単独で対応するか、他の訪問看護ステーション等と連携して対応するか、あるいは夜間の対応を委託する体制を取るかによって異なります。どの区分を選ぶかで月あたりの収入が変わるため、まず自事業所がどの区分に該当するかを確認することが収支分析の出発点になります。

夜間対応にかかるコストは何で構成されるか

夜間対応のコストは大きく分けて三つの要素から成り立ちます。

  1. 待機時間に対する手当
  2. 実際に呼び出し対応した時間の賃金と割増分
  3. 外部委託を利用する場合の委託費用

深夜割増賃金の負担

労働基準法第37条では、午後10時から午前5時までの深夜労働に対して25パーセント以上の割増賃金を支払うことが義務づけられています。看護師が呼び出しを受けて深夜に訪問した場合、通常の時間単価に加えてこの割増分が発生します。呼び出し件数が多い月ほど、この割増賃金の総額が膨らむ点に注意が必要です。

また休日労働が重なる場合は同条により35パーセント以上の割増賃金が必要になるため、オンコール担当のシフトが休日にあたる頻度も合わせて把握しておくべきです。

オンコール待機手当の設計

待機時間そのものに対する手当は各事業所が独自に設計している部分が大きく、公的な基準額は定められていません。待機日数が多いスタッフに手当が偏ると、特定のスタッフの負担感が増し離職リスクにつながるため、待機を担当する人数の分散も収支とあわせて検討する項目です。

外部委託を利用する場合のコスト

夜間対応を他の訪問看護ステーション等に委託する体制を取る場合、委託費用が発生します。委託先への支払いが加算収入を上回ってしまうと、夜間対応を提供すること自体が赤字要因になります。委託を検討する際は、委託料と区分(三)などの加算点数を照らし合わせて試算することが欠かせません。

採算ラインはどう考えるか

収支分析の基本は、月あたりの加算収入から月あたりの夜間対応コストを差し引いて、プラスかマイナスかを確認することです。整理の枠組みは次のとおりです。

収入側

  • 24時間対応体制加算(区分に応じた月額)
  • 緊急時訪問看護加算など、夜間訪問が発生した際にあわせて算定できる加算

支出側

  • 待機手当の月間合計
  • 深夜割増賃金を含む呼び出し対応分の人件費
  • 外部委託を利用する場合の委託費
  • 夜間対応に伴う移動費、燃料費等の実費

この収入合計と支出合計を月次で比較し、呼び出し件数が増減した場合にどちらに傾くかをシミュレーションしておくと、体制変更の判断材料になります。呼び出し件数が少ない月は黒字でも、感染症流行期など呼び出しが集中する時期には赤字に転じる可能性があるため、年間を通じた変動も確認しておく必要があります。

採算を改善するために確認したい視点

  • 加算の区分が自事業所の体制と収益性に合っているか、連携や委託の選択肢を含めて再検討する
  • 待機手当と呼び出し対応の賃金を分けて記録し、どちらのコストが収支を圧迫しているかを特定する
  • 呼び出し件数の多いスタッフや時間帯を把握し、オンコール担当の分散やシフト見直しを行う
  • 緊急時訪問看護加算など夜間訪問にあわせて算定できる加算の算定漏れがないか確認する

まとめ

24時間対応体制加算の採算性は、点数だけを見ていては判断できません。深夜割増賃金やオンコール手当、委託費といった支出側を具体的に数字で把握し、収入と突き合わせて初めて体制の是非を判断できます。加算の区分選択や委託の活用も含め、月次での収支確認を習慣化することが、夜間対応体制を持続可能にする出発点になります。

出典