D to P with Nに同意取得が必須とされる理由は何か

D to P with N(訪問看護師同席型オンライン診療)は、医師がオンラインで診療を行い、訪問看護師が利用者宅で医療機器の操作や身体状況の伝達などを補助する仕組みです。医師が対面で診察しないという特性上、利用者側が仕組みを理解し、納得したうえで受け入れているかどうかが制度上の前提条件になります。

厚生労働省のオンライン診療指針でも、オンライン診療の実施にあたっては利用者への説明と同意取得が明記されており、D to P with Nも同様の枠組みで運用されます。同意が不十分なまま実施すると、算定要件を満たさないとみなされ、実地指導で返還指導の対象になるリスクもあります。

同意取得は単なる事務手続きではなく、利用者との信頼関係を築くための重要なプロセスでもあります。何を説明し、どのタイミングで同意を得て、どう記録するかを事業所内で標準化しておくことが欠かせません。

同意取得のタイミングはいつが適切か

同意を取得する場面は大きく3つに分けられます。

タイミング内容対応者
導入検討時D to P with N導入の説明、初回同意取得管理者・サービス提供責任者
実施直前当日の実施内容・通信環境の確認、簡易同意の再確認訪問看護師
体制変更時実施医師の変更、機器変更などがあった場合の再同意管理者

初回導入時にまとまった説明時間を確保し、包括同意を得ておくことで、毎回の煩雑な手続きを避けられます。ただし体制に大きな変更があった場合は、利用者が想定していた内容と乖離しないよう再同意を取ることが望ましいです。

説明すべき項目に漏れはないか

同意取得の際に説明すべき項目は、単に「オンラインで医師とつながる」ことだけではありません。以下の項目を漏れなく伝える必要があります。

  • D to P with Nの目的と対面診療との違い
  • 訪問看護師が同席し医療機器の操作や身体所見の伝達を行うこと
  • 通信障害が発生した場合の対応方法(電話への切り替え等)
  • 個人情報や医療情報が通信を通じてやり取りされること
  • 記録や画面の保存の有無とその管理方法
  • 同意はいつでも撤回可能であること
  • 撤回した場合も従来の訪問診療・訪問看護は継続されること

特に撤回可能性についての説明を省略すると、利用者が「一度同意したら後戻りできない」と誤解し、不安から在宅医療全体への不信感につながることがあります。撤回の自由を明確に伝えることが、結果的に同意率の向上にもつながります。

同意書に最低限含めるべき記載事項は何か

同意書の様式は事業所ごとに作成して問題ありませんが、以下の項目は必須で盛り込む必要があります。

  • 利用者氏名、生年月日
  • 実施する医療機関名、担当医師名
  • 訪問看護ステーション名、同席予定の看護師名
  • D to P with Nの実施内容の概要
  • 通信環境、機器の種類
  • 個人情報の取り扱いに関する同意事項
  • 同意の撤回に関する事項
  • 同意年月日、利用者または代諾者の署名欄
  • 代諾者の場合はその続柄と代諾理由

同意書テンプレート例

以下は実務でそのまま活用できる同意書テンプレートの構成例です。事業所名や医療機関名を差し替えて使用してください。


D to P with N(訪問看護師同席型オンライン診療)実施に関する同意書

利用者氏名:           生年月日:  年  月  日

実施医療機関:          担当医師名:      

訪問看護ステーション名:      同席看護師名:      

  1. 説明を受けた内容
  • D to P with Nの目的と実施方法について説明を受けました
  • 訪問看護師が同席し、バイタル測定や医療機器操作の補助を行うことについて説明を受けました
  • 通信環境の不具合が生じた場合の代替対応について説明を受けました
  • 個人情報の取り扱いについて説明を受けました
  • 本同意はいつでも撤回可能であり、撤回後も従来どおりの訪問看護・訪問診療が継続されることについて説明を受けました
  1. 同意事項 上記内容について説明を受け、内容を理解したうえで、D to P with Nの実施に同意します。

利用者署名:            印

代諾者署名(該当する場合):       印 続柄:                 

同意年月日:  年  月  日


このテンプレートに事業所独自の説明補足資料やパンフレットを添付することで、より丁寧な説明が可能になります。文字だけでは理解が難しい高齢の利用者には、図解を用いた説明資料を併用することも効果的です。

代諾者から同意を得る場合の注意点は何か

認知症や意識障害などにより利用者本人の判断能力が十分でない場合、家族や成年後見人などの代諾者から同意を得ることになります。この場合、以下の点に留意してください。

  • 代諾者が本人にとって適切なキーパーソンであるかをケアマネジャーや主治医と確認する
  • 代諾の理由(本人の判断能力の状況)を記録に残す
  • 代諾者の連絡先と続柄を同意書に明記する
  • 本人の意思確認が可能な範囲で、本人にも分かりやすい言葉で説明を試みる

代諾によって同意を得た場合でも、本人の尊厳を尊重する姿勢を忘れず、可能な限り本人にも説明を行うことが望まれます。

実地指導で指摘されやすいポイントは何か

実地指導の場面では、同意取得に関して以下の点がよく確認されます。

  • 同意書の日付が実施日より後になっていないか
  • 同意書の署名が本人以外の場合、代諾理由が記載されているか
  • 撤回に関する説明が記載されているか
  • 同意書がカルテや訪問看護記録と紐づけて保管されているか
  • 体制変更(担当医師変更など)があった際に再同意が取られているか

事前にこれらの項目をチェックリスト化し、月次で確認する体制を整えておくと、指導当日に慌てることがなくなります。

同意取得チェックリスト

  • 説明資料は最新の制度内容に更新されているか
  • 説明を行った日時と担当者を記録しているか
  • 同意書の必須項目に漏れがないか
  • 代諾者の場合、続柄と理由が明記されているか
  • 撤回の自由について明確に説明したか
  • 同意書の保管場所とアクセス権限が明確になっているか
  • 体制変更時の再同意フローが整備されているか

まとめ

D to P with Nの導入において、利用者同意の取得は制度対応と信頼関係構築の両面で欠かせないプロセスです。説明すべき項目を漏れなく伝え、同意書には必須事項を過不足なく記載し、代諾が必要な場合は理由を明確にしておくことが、実地指導での指摘を防ぐポイントになります。今回紹介したテンプレートをベースに、自事業所の運用に合わせてカスタマイズし、説明から記録までの一連の流れをマニュアル化しておくことをおすすめします。