D to P with Nの遠隔診療補助料とは何か?
D to P with N(Doctor to Patient with Nurse)は、訪問看護師が患者宅に同席してオンライン診療を支援する新しい診療形態です。この制度により、訪問看護ステーションは「遠隔診療補助料」として100点(1,000円)を算定できるようになりました。
算定の基本構造
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 算定者 | 訪問看護ステーション |
| 点数 | 100点(1,000円) |
| 算定頻度 | 月4回まで |
| 算定時期 | オンライン診療実施時 |
2026年診療報酬改定では、この制度の算定要件が明確化され、より多くの訪問看護ステーションが活用できる環境が整備されています。
算定要件を満たすための5つのステップ
ステップ1:対象患者の選定基準
D to P with Nの対象となる患者は以下の条件を満たす必要があります:
- 在宅療養中であること
- 定期的な医師の診察が必要であること
- 移動が困難または負担が大きいこと
- 訪問看護を受けていること
- 患者・家族がオンライン診療に同意していること
ステップ2:医師との事前調整
算定を確実にするため、以下の調整を行います:
-
診療計画の共有
- 診療頻度の決定
- 観察項目の確認
- 緊急時対応の取り決め
-
技術的な準備
- 使用機器の選定
- 通信テストの実施
- セキュリティ設定の確認
-
役割分担の明確化
- 看護師の観察・報告内容
- 医師の診察範囲
- 記録作成の責任分担
ステップ3:必要設備の準備
算定に必要な設備要件は以下の通りです:
通信機器要件
| 機器 | 必要スペック |
|---|---|
| タブレット・PC | HD画質対応、マイク・カメラ内蔵 |
| 通信回線 | 安定したインターネット接続 |
| セキュリティ | 医療情報のセキュリティ基準準拠 |
| バックアップ電源 | 停電時の対応措置 |
診察補助機器
- 聴診器(電子聴診器推奨)
- 血圧計
- 体温計
- 酸素飽和度測定器
- 体重計
ステップ4:実施手順の標準化
効率的な算定のため、実施手順を標準化します:
診療前準備(15分前)
- 機器の動作確認
- 患者・家族への説明
- 診療環境の整備
- 医師との接続テスト
診療中の対応
- 患者状態の観察・報告
- 医師の指示に基づく測定・観察
- 患者・家族との通訳・説明
- 診療記録の作成支援
診療後の対応
- 診療内容の確認・記録
- 今後の計画調整
- 次回診療の予定調整
- 算定に必要な記録の完成
ステップ5:記録・書類の作成
算定に必要な記録は以下の通りです:
必須記録項目
- 実施日時
- 診療時間
- 参加者(医師名、看護師名、患者・家族)
- 診療内容
- 観察・測定結果
- 医師の指示内容
- 今後の計画
算定漏れを防ぐチェックリスト
事前確認項目
□ 対象患者の適格性確認 □ 医師との診療計画合意 □ 必要機器の動作確認 □ セキュリティ設定の確認 □ 患者・家族の同意取得
実施時確認項目
□ 診療開始時刻の記録 □ 診療内容の詳細記録 □ 医師指示の正確な記録 □ 患者状態の客観的記録 □ 診療終了時刻の記録
事後確認項目
□ 算定要件の再確認 □ 記録の完成度チェック □ 次回予定の調整 □ 算定請求の準備 □ 改善点の洗い出し
よくある算定エラーとその対策
エラー1:記録不備による算定拒否
対策:記録テンプレートの活用
【D to P with N実施記録】
実施日: 年 月 日( )
開始時刻: : ~ 終了時刻: :
医師名:
看護師名:
患者状態:
診療内容:
医師指示:
今後の計画:
エラー2:算定回数の超過
対策:月間実施回数管理表の作成
| 週 | 実施日 | 医師名 | 算定 | 累計 |
|---|---|---|---|---|
| 1週目 | ||||
| 2週目 | ||||
| 3週目 | ||||
| 4週目 |
エラー3:技術的トラブルによる診療中断
対策:バックアップ計画の策定
- 予備通信手段の準備
- 機器故障時の対応手順
- 中断時の記録方法
- 振替診療の調整手順
収益最大化のための運用戦略
効率的なスケジューリング
- 同一日の複数患者対応
- 移動時間の最適化
- 医師の空き時間活用
- 緊急対応枠の確保
患者・家族の満足度向上
- 事前説明の充実
- 操作サポートの提供
- 診療後のフォローアップ
- 改善要望の収集・反映
スタッフ教育の充実
必要なスキル
- オンライン診療の基本知識
- 通信機器の操作技術
- 医師との効果的なコミュニケーション
- 患者・家族への説明技術
- トラブル対応能力
研修プログラム例
| 段階 | 内容 | 時間 |
|---|---|---|
| 基礎研修 | 制度・算定要件の理解 | 2時間 |
| 技術研修 | 機器操作・トラブル対応 | 3時間 |
| 実践研修 | 模擬診療・ロールプレイ | 2時間 |
| フォローアップ | 実施後の振り返り・改善 | 1時間 |
2026年改定での変更点と対応策
主な変更点
- 算定要件の明確化
- 対象疾患の拡大
- 実施回数制限の緩和
- 記録要件の詳細化
対応策
- 新要件に合わせた手順書の更新
- スタッフへの追加研修実施
- システム・記録様式の見直し
- 医師との連携体制の再構築
他制度との併用による収益拡大
併用可能な加算
- 在宅患者訪問看護・指導料
- 24時間対応体制加算
- 緊急時訪問看護加算
- 特別管理指導料
連携強化による効果
- 医師との信頼関係構築
- 紹介患者の増加
- 診療の質向上
- 患者満足度の向上
まとめ
D to P with Nの遠隔診療補助料算定は、適切な準備と運用により確実な収益源となります。算定要件の正確な理解、必要設備の整備、標準化された実施手順の確立、そして継続的な改善が成功の鍵です。
2026年改定により制度が整備され、今後ますます算定機会が拡大することが予想されます。早期の体制構築により、競合他社との差別化と安定した収益確保を実現しましょう。
算定漏れを防ぐためのチェックリストを活用し、スタッフ教育を継続することで、D to P with Nを訪問看護ステーションの新たな収益の柱として確立できるはずです。
