訪問看護管理療養費は「点」ではなく「円」で決まる

訪問看護管理療養費は、訪問看護ステーションが利用者ごとに算定する基本報酬です。訪問看護基本療養費とは別建てで、管理者の労務管理、24時間の連絡体制の維持、記録管理など、個々の訪問行為以外にかかる業務を評価するものという位置づけになっています。

最初に押さえておきたいのは単位です。訪問看護療養費は診療報酬の点数ではなく、告示に円で定められています。院内の資料で「点」として扱い、1点10円で換算し直すと二重換算になります。

構造は二段です。月の初日に算定する額と、月の初日以外の日に算定する額が別に定められており、初日の額は事業所の区分によって、初日以外の額は利用者の住まい方と訪問日数によって決まります。

現行の区分と額(令和8年6月1日から)

令和8年6月1日適用の告示により、月の初日の管理療養費は次の5区分になりました。それ以前に使われていた4区分の額(12,830円・9,800円・8,470円・7,440円)は令和4年度改定時点のもので、現行ではありません。

区分月の初日の額
機能強化型113,760円
機能強化型210,460円
機能強化型39,030円
機能強化型49,030円
その他7,710円

機能強化型4は令和8年6月1日から新設された区分です。額は機能強化型3と同じですが、届出に必要な要件は区分ごとに別に定められているため、額が同じだからといって要件が同じとは限りません。

月の初日以外の額はどう決まるのか

令和8年6月1日から、月の初日以外の管理療養費は届出が不要になりました。額は、単一建物居住者(同一の建物に居住する利用者)の人数区分と、その月の訪問日数の組み合わせで6段階に分かれます。

人数区分は20人未満、20人以上50人未満、50人以上の3つで、額は3,010円から2,010円の範囲です。自事業所がどの段階に当たるかは、告示の別表で人数区分と訪問日数を突き合わせて確認してください。同じ利用者数でも、集合住宅への訪問が多い事業所とそうでない事業所とでは、この部分の収入の伸び方が変わります。

利用者数の規模で管理療養費はいくら変わるか

区分の違いが月の収入にどう効くかを、規模別の収益シミュレーションとして整理します。ここでは月の初日の額だけを使い、基本療養費、各加算、月の初日以外の管理療養費は含めていません。

規模利用者数想定する区分月の初日の額月の初日分の合計
小規模30人その他7,710円231,300円
中規模50人機能強化型39,030円451,500円
大規模100人機能強化型113,760円1,376,000円

同じ利用者100人でも、その他の区分のままなら771,000円です。機能強化型1との差は1人あたり6,050円、100人で月605,000円、年間では7,260,000円になります。

一方で、利用者を30人から50人へ増やしても、その他の区分のままなら385,500円です。機能強化型3の50人(451,500円)には届きません。利用者数を増やすことと区分を上げることは、別々の手段だということが数字で確認できます。

試算で間違えやすいところ

  • 月の初日の管理療養費は利用者1人につき月1回。同じ月に何度訪問しても初日分は増えない
  • 月の初日以外は訪問した日ごとに算定するため、訪問頻度が高い利用者ほどこの部分が積み上がる
  • 単位は円。点数として扱わない
  • 区分を上げると人員配置と実績を維持する費用も増える。差額だけで判断しない
  • 届出の内容と実態がずれたまま算定を続けると、返還の対象になる

区分を上げる前に確認すること

機能強化型訪問看護ステーションの人員要件と実績要件は、届出基準を定めた通知に区分ごとに書かれています。単位や額だけを見て判断せず、次の順で確認してください。

  • 現行の届出基準の原文で、目指す区分の人員要件と実績要件を読む
  • 直近の常勤換算数、ターミナルケアの実績件数、重症度の高い利用者の受け入れ実績を、根拠資料とともに集計する
  • 要件を満たせなくなった月がないかを四半期ごとに点検する手順を決めておく
  • 区分変更の届出の時期と、変更後に算定を始められる日を確認する

常勤換算の計算誤りや実績件数の数え漏れは、実地指導で指摘されやすい項目です。日々の記録の段階で根拠が残る形にしておくと、届出のたびに集計し直す手間がなくなります。

まとめ

訪問看護管理療養費は令和8年6月1日から5区分になり、月の初日の額は機能強化型1が13,760円、2が10,460円、3と4が9,030円、その他が7,710円です。月の初日以外は届出が不要になり、単一建物居住者の人数区分と訪問日数で3,010円から2,010円の6段階に分かれます。

規模別に試算すると、利用者100人でその他と機能強化型1の差は月605,000円になります。ただしこれは月の初日分だけの比較で、体制を維持する費用は含まれていません。額の確認は必ず現行の告示と届出基準の原文で行い、届出内容と実態が一致しているかを定期的に点検してください。

出典