訪問看護療養費には、小児の在宅療養を支える仕組みとして乳幼児加算と幼児加算という2つの加算が設けられています。名称が似ているため混同されやすく、対象年齢を誤って算定漏れや誤請求が起きるケースも見られます。本記事では対象年齢の線引きと算定要件を整理し、現場で使えるチェックリストとしてまとめます。
乳幼児加算・幼児加算とは何か
乳幼児加算と幼児加算は、訪問看護基本療養費に対する加算として設けられている制度です。小児は身体が小さく状態変化も急であることから、成人と比較して訪問看護にかかる負担が大きいという実態を踏まえ、年齢に応じて加算額が設定されています。対象となるのは医療保険の訪問看護療養費であり、介護保険の訪問看護費には同様の加算はありません。小児の訪問看護は、15歳未満の超重症児・準超重症児や厚生労働大臣が定める疾病等に該当する場合を除き、原則として医療保険の対象となるため、該当するケースでは加算の算定可否を必ず確認する必要があります。
対象年齢は何歳までか
乳幼児加算と幼児加算は、訪問看護を実施した当日の年齢によって区分されます。
| 加算名 | 対象年齢 |
|---|---|
| 乳幼児加算 | 3歳未満 |
| 幼児加算 | 3歳以上6歳未満 |
6歳の誕生日を迎えた時点でいずれの加算も算定できなくなります。誕生日の前後で訪問が続く利用者の場合、訪問日ごとに年齢を確認し、加算区分が切り替わるタイミングを記録に残しておくことが重要です。特に3歳の誕生日をまたぐケースでは、乳幼児加算から幼児加算への切り替えを見落としやすいため注意してください。
令和6年度改定での変更点
令和6年度診療報酬改定において、訪問看護基本療養費の乳幼児加算の対象年齢が見直され、従来よりも年齢区分が細分化されました。改定前は乳幼児加算として一括りに扱われていた年齢層が、3歳未満の乳幼児加算と、新設された3歳以上6歳未満の幼児加算に分けられています。改定のねらいは、年齢に応じたケアの負担度合いをより実態に即した形で評価することにあります。ステーション側は、電子カルテやレセプトコンピュータの加算マスタが改定後の区分に対応しているかを確認し、古い年齢区分のまま運用していないかを点検する必要があります。
超重症児・準超重症児の場合の加算
超重症児または準超重症児に該当する利用者に訪問看護を行った場合は、通常の乳幼児加算・幼児加算よりも高い加算額が適用されます。超重症児・準超重症児の判定は、厚生労働省が定める判定基準に基づくスコア評価によって行われ、人工呼吸器管理や経管栄養、気管切開の有無など複数の医療的ケア項目の該当状況を点数化して判断します。該当する場合は、判定の根拠となる主治医の情報提供書や指示書の内容、アセスメント記録を保管し、実地指導の際に提示できる状態にしておくことが求められます。
算定要件のチェックリスト
乳幼児加算・幼児加算の算定にあたって確認すべき項目を整理します。
- 利用者が訪問看護療養費の対象(医療保険適用)であるか
- 訪問当日時点の満年齢が3歳未満か、3歳以上6歳未満か
- 誕生日をまたぐ訪問について年齢区分の切り替えを記録しているか
- 超重症児・準超重症児に該当する場合、判定根拠となる記録が保管されているか
- レセプトコンピュータの加算マスタが最新の年齢区分に対応しているか
- 訪問看護指示書に記載された病名・状態と加算の算定根拠が整合しているか
レセプト記載上の注意点
乳幼児加算・幼児加算は訪問看護基本療養費に付随する加算であるため、基本療養費の区分(訪問看護基本療養費Ⅰ・Ⅱのいずれか)と合わせて正しく記載する必要があります。同一建物居住者に該当する利用者の場合は基本療養費の区分そのものが変わるため、加算額も連動して変わる点に注意してください。また、月の途中で年齢が切り替わる利用者については、該当月の訪問日ごとに加算区分を分けて記載し、誕生日前後で誤った加算区分のまま一括請求しないようにすることが大切です。返戻や査定を防ぐためにも、訪問看護記録書に利用者の生年月日と訪問日の年齢を併記しておく運用をおすすめします。
現場でありがちな算定ミス
小児訪問看護を扱うステーションでよくある例として、3歳の誕生日を迎えた利用者について、翌月以降も乳幼児加算のまま請求を続けてしまうケースが挙げられます。年齢区分の切り替えは管理者やサービス提供責任者が意識していても、担当看護師が訪問記録入力時に見落とすことがあるため、利用者台帳やスケジュール管理システム上で誕生日と加算切り替え時期をあらかじめアラート設定しておくと防止につながります。また、超重症児・準超重症児の判定を更新せずに古い判定のまま高い加算額を算定し続けてしまう例もあるため、主治医からの情報提供を受けるタイミングで判定状況を再確認する運用を組み込むことが望まれます。
まとめ
乳幼児加算は3歳未満、幼児加算は3歳以上6歳未満という年齢区分を正確に理解し、訪問日ごとの年齢確認を徹底することが算定漏れ・誤請求の防止につながります。令和6年度改定で区分が細分化されたことを踏まえ、レセプトシステムの設定や記録様式を最新の制度に合わせて見直すことが重要です。超重症児・準超重症児に該当する場合は判定根拠の記録を整え、実地指導にも耐えられる体制を整えておきましょう。
出典
- 厚生労働省告示 訪問看護療養費に係る訪問看護基本療養費、訪問看護管理療養費等の算定方法(平成18年厚生労働省告示第103号、令和6年厚生労働省告示第57号による改正)
- 厚生労働省 令和6年度診療報酬改定の概要(在宅医療)
- 厚生労働省 訪問看護療養費算定における留意事項について(保医発通知)