特別管理加算とは何か

特別管理加算は、在宅で重度の医療管理が必要な利用者に対して訪問看護を提供した場合に、訪問看護基本療養費または訪問看護費に上乗せして算定できる加算です。医療保険の訪問看護療養費、介護保険の訪問看護費のいずれにも同様の趣旨で設けられており、対象となる疾患や状態は厚生労働大臣が定める基準(告示)に基づいて判定します。

加算は状態の重さに応じてIとIIの二段階に分かれており、どちらに該当するかによって点数(介護保険では単位数)が変わります。対象疾患・状態の判定を誤ると、算定漏れによる減収だけでなく、返戻や過誤請求の原因にもなるため、管理者やサービス提供責任者は一覧を正確に把握しておく必要があります。

特別管理加算Iの対象となる疾患・状態は

特別管理加算Iは、在宅療養指導管理料の算定対象となるような重度の医療管理を要する状態が中心です。代表的な対象は次のとおりです。

区分対象となる状態の例
在宅療養指導管理系在宅悪性腫瘍等患者指導管理、在宅気管切開患者指導管理、在宅中心静脈栄養法指導管理、在宅成分栄養経管栄養法指導管理、在宅自己導尿指導管理、在宅人工呼吸指導管理、在宅酸素療法指導管理、在宅血液透析指導管理、在宅自己腹膜灌流指導管理、在宅悪性腫瘍患者共同指導管理、在宅麻薬等注射指導管理
医療機器・処置の管理気管カニューレを使用している状態、留置カテーテルを使用している状態、人工肛門または人工膀胱を設置している状態

これらは訪問看護指示書に記載された病名や、主治医が発行している在宅療養指導管理料の種類と照合することで判定できます。指示書だけでなく、実際に使用している医療機器やケア内容を訪問看護記録に明記しておくことが、算定の裏付けとして重要です。

特別管理加算IIの対象となる状態は

特別管理加算IIは、特別管理加算Iに該当しないものの、一定の医療管理を要する状態が対象となります。代表的なものは次のとおりです。

区分対象となる状態の例
褥瘡真皮を超える褥瘡の状態にある者
その他の在宅療養指導管理特別管理加算Iに定める在宅療養指導管理以外で、告示に定める在宅療養指導管理を受けている状態

褥瘡については、深達度の判定が算定可否を左右します。真皮を超えるかどうかは創部のアセスメントに基づいて記録し、経過に応じて改善した場合は加算の対象から外れる点にも注意が必要です。訪問のたびに褥瘡の深さ、大きさ、滲出液の状態を記録し、状態の変化を追えるようにしておくことが求められます。

医療保険と介護保険で算定要件はどう違うか

特別管理加算は医療保険の訪問看護療養費と介護保険の訪問看護費の双方に設けられていますが、適用される保険制度は利用者の年齢や疾患、要介護認定の有無によって決まります。医療保険と介護保険のどちらで訪問看護を提供しているかに応じて、算定する加算の種類と点数・単位が変わるため、次の点を確認しておきます。

  • 利用者が要介護認定を受けているか、医療保険の給付対象か
  • 厚生労働大臣が定める疾病等(別に厚生労働大臣が定める疾病等)に該当し、医療保険の訪問看護が優先されるケースかどうか
  • 特別訪問看護指示書が交付されている期間中の取り扱い

医療保険と介護保険のどちらが優先されるかの判断を誤ると、加算そのものが算定できなくなるため、利用者ごとに保険種別と対象疾患の該当状況をあわせて管理することが必要です。

算定漏れを防ぐチェックリスト

特別管理加算の算定漏れや誤算定を防ぐために、次の項目を毎月確認することをおすすめします。

  • 訪問看護指示書に記載された病名と在宅療養指導管理の種類を確認したか
  • 気管カニューレ、留置カテーテル、人工肛門・人工膀胱など使用中の医療機器を記録に明記しているか
  • 褥瘡がある利用者について深達度の記録を毎回更新しているか
  • 特別管理加算Iか II かの区分を利用者ごとに一覧化しているか
  • 状態が改善し対象から外れた利用者がいないか、月次で見直しているか
  • 医療保険と介護保険のどちらで算定すべきかを利用者ごとに確認しているか
  • 主治医への情報提供や指示内容の変更が加算の判定に影響していないか

これらをチェックリスト化してステーション内で共有しておくと、担当者が変わっても判定基準がぶれにくくなります。

2026年改定で何が論点になっているか

本記事作成時点で、特別管理加算の対象疾患や点数について具体的な見直し内容は告示されていません。診療報酬改定の内容は中央社会保険医療協議会での審議を経て、改定告示や関連通知として正式に公表される流れとなっています。

管理者としては、次のような視点で改定に向けた準備を進めておくと安心です。

  • 現行の対象疾患・状態を正しく把握し、判定基準を文書化しておく
  • 中医協の資料や厚生労働省の公表情報を定期的に確認する
  • 改定内容が公表された際に、対象者の再判定を速やかに行える体制を整えておく

制度の細部が変わった場合でも、日頃から利用者の状態を正確に記録し、判定根拠を残しておくことで、改定対応をスムーズに進めることができます。

まとめ

特別管理加算は、在宅療養指導管理や医療機器の使用、褥瘡の深達度など、告示で定められた状態等に該当するかどうかで算定の可否が決まります。特別管理加算Iと特別管理加算IIでは対象となる状態と点数が異なるため、利用者ごとに該当疾患・状態を一覧化し、毎月の記録で裏付けを残しておくことが算定漏れの防止につながります。2026年改定の具体的な見直し内容は本記事作成時点で公表されていないため、今後の公表資料を注視しながら、現行制度に基づく正確な判定体制を整えておくことが重要です。

出典