オンライン資格確認とは何か|訪問看護にも関係があるのか

オンライン資格確認等システムとは、マイナンバーカードの保険証利用や健康保険証の記号番号などをもとに、患者の医療保険の資格情報を医療機関や薬局の窓口でオンラインに確認できる仕組みです。社会保険診療報酬支払基金と国民健康保険中央会が運営し、資格の有効性確認や特定健診情報、薬剤情報などの閲覧にも活用されています。

この仕組みは当初、病院や診療所、薬局といった保険医療機関を主な対象として整備されましたが、訪問看護ステーションにおいても在宅医療の質と効率を高める観点から、活用の広がりが進められています。経営者や管理者にとっては、制度の対象範囲と義務化の有無を正確に把握しておくことが欠かせません。

保険医療機関・薬局はなぜすでに義務化されているのか

保険医療機関及び保険薬局については、療担規則等の改正により、令和5年4月からオンライン資格確認の導入が原則義務化されています。紙レセプトでの請求が認められる一部の施設を除き、オンライン資格確認用のシステム導入とネットワーク環境の整備が求められる形です。経過措置はありますが、制度の方向性としては医療機関・薬局全体でのデジタル化を前提とした運用に移行しています。

この義務化の根拠は、療養担当規則及び療養担当基準の改正にあり、保険診療を行う上での基本的なルールの一部として位置づけられています。訪問看護ステーションはこの療担規則の直接の適用対象ではないため、同じ意味での原則義務化はかかっていません。ここを混同してしまうと、経営判断を誤るおそれがあるため注意が必要です。

訪問看護ステーションは現在どのような位置づけなのか

訪問看護ステーションは保険医療機関ではなく、訪問看護療養費という別の枠組みで医療保険の給付を受けています。そのため、オンライン資格確認の原則義務化の対象には含まれていません。

ただし令和6年4月以降、システム改修によって訪問看護ステーションもオンライン資格確認等システムを利用できる環境が整えられています。これは義務化ではなく利用可能化という位置づけであり、導入するかどうかは各事業所の判断に委ねられている段階です。

現時点で訪問看護ステーションに課されているのは次の2点に整理できます。

  • オンライン資格確認の導入は義務ではなく任意である
  • システムとしては既に利用できる環境が整備されている

経営者としては、義務化されていないからといって後回しにするのではなく、在宅医療全体のデジタル化の流れを踏まえた準備を進めておくことが望ましい状況です。

令和8年度改定でオンライン資格確認はどう扱われるのか

令和8年度診療報酬改定に向けては、中央社会保険医療協議会において在宅医療分野の医療DX推進のあり方が議論の対象となっています。医科、歯科、調剤の分野では、令和6年度改定ですでに医療DX推進に関する評価が診療報酬上に導入されており、訪問看護を含む在宅医療分野についても同様の方向性で検討が進められている段階です。

ここで重要なのは、現時点で訪問看護ステーションに対するオンライン資格確認の原則義務化が確定した一次資料は存在しないという点です。義務化そのものについて断定的な情報を発信する記事や噂が出回ることがありますが、経営判断の根拠にする際は、厚生労働省の告示や通知、中医協の答申といった一次資料で確認できる内容かどうかを必ず確かめる必要があります。

その上で、医療DX推進という政策の方向性自体は継続しているため、訪問看護ステーションにおいても将来的な対応を見据えた準備を進めておくことが、経営上のリスク管理につながります。

訪問看護ステーションは今から何を準備すべきか

義務化の有無にかかわらず、在宅医療分野のデジタル化は進む方向にあります。経営者・管理者が今のうちに確認しておきたい項目を整理します。

体制面のチェックリスト

  • 事業所内のネットワーク環境がオンライン資格確認等システムの利用要件を満たしているか
  • カードリーダーや専用端末の導入可否を検討済みか
  • 訪問先でのオンライン資格確認の運用方法を想定できているか
  • 個人情報保護の観点から、利用者の資格情報を扱う際のルールを整備しているか
  • 職員への運用教育の計画があるか

情報収集のチェックリスト

  • 厚生労働省や地方厚生局からの通知を定期的に確認しているか
  • 中医協の議事録や答申の公表内容を把握しているか
  • 同一都道府県の訪問看護連絡協議会等から情報を得られる体制があるか

これらの項目は、義務化が決定した場合にも、決定しなかった場合にも無駄にならない準備です。制度の先取りではなく、情報を正確に把握した上での計画的な対応が求められます。

導入までの具体的なステップはどうなっているか

訪問看護ステーションがオンライン資格確認の導入を検討する場合、一般的な流れは次のようになります。

  1. オンライン資格確認等システムの利用申し込みを行う
  2. 必要な機器やネットワーク環境を整備する
  3. システムの動作確認とテスト運用を行う
  4. 職員への操作研修を実施する
  5. 本稼働に移行し、運用上の課題を継続的に見直す

訪問看護の現場は利用者宅という移動を伴う環境での運用になるため、院内に固定された端末で完結する保険医療機関とは異なる準備が必要です。モバイル環境での通信の安定性や、個人情報を扱う端末の管理方法についても、事業所ごとに具体的な運用ルールを定めておくことが望まれます。

導入にかかる費用や補助はあるか

医療情報化支援基金を活用した導入支援の枠組みが設けられてきた経緯があり、対象施設や補助の内容は年度ごとに見直されています。補助の有無や金額、対象期間については、その時点の厚生労働省の公表資料で必ず確認する必要があります。古い情報のまま判断してしまうと、申請要件を満たせなかったり、補助の対象期間を過ぎてしまったりするおそれがあるため、申請前には必ず最新の一次資料にあたる姿勢が欠かせません。

まとめ

訪問看護ステーションは現時点でオンライン資格確認の原則義務化の直接対象ではありませんが、令和6年4月以降はシステムを利用できる環境が整っており、令和8年度改定に向けても在宅医療分野の医療DX推進が検討課題となっています。義務化の確定情報がない段階で焦って対応する必要はありませんが、ネットワーク環境や運用ルールの整備、情報収集の体制づくりは早めに進めておくことで、今後の制度変更にも落ち着いて対応できます。経営者・管理者は、一次資料に基づいた正確な情報をもとに、計画的な準備を進めることが重要です。

出典